「葉っぱに匂いのある木」
木々たちは春の到来とともに、冬芽を展開して葉っぱを開き、花を咲かせます。そこで、木の国日本を代表する50種の樹木、その中からタブノキを選んでみました。タブノキは油山にも多く自生しており、照葉樹林を代表する樹種の一つです。冬芽は芽鱗(がりん)に包まれた卵形(らんけい)で、花と葉の混芽(こんが)となっています。私はこの鮮やかな紅色の芽吹きの姿で春を感じます。タブノキは、クスノキ科タブノキ属・別名をイヌグスとも言い、葉は互生で枝先に集合し、花被(かひ)(花冠(かかん)と萼(がく)を合わせたもの)が6つに分かれているのが特徴です。樹冠を広げた威風堂々の姿から、社寺のご神木として祭られていることが多く、一説では「霊(タマ)の木」が、タブノキ「椨の木」に変じたものとされています。葉には、クスノキに似た特有の芳香があり、葉柄(ようへい)を折ってくっつけ合わせると、粘液性のある白い糸を引きます。この現象はクスノキ科ではタブノキだけで、先人は葉や樹皮から椨(たぶ)粉(こ)を抽出し、杉の葉との接着・芳香剤として線香を作りました。油山におけるクスノキ科の樹木には、ホソバタブ、ヤブニッケイ、シロダモ、ケクロモジ、カナクギノキ、カゴノキ、ヤマコウバシ等がありますが、難しいことは言いっこなし、遊び心でもって葉っぱをクシャッと揉んで匂い比べて下さい。特にヤブニッケイの匂いは、セラピー効果抜群ですよ。ぜひお試しあれ!(安部泰男)
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