「冬芽が面白い木」
冬の油山、冬(ふゆ)芽(め)の合唱団で賑わっています。冬芽は、晩夏から秋にかけて、成長を続け春の芽吹きに備えます。冬姿の芽をよく観察すると、人間や動物の顔に見える部分がありますが、これは落葉後の形が、そのまま茎に残って葉(よう)痕(こん)となり、葉痕に様々な模様となって出ます。冬芽の観察によって、春に混(こん)芽(が)や花(か)芽(が)や葉芽(ようが)などが展開したとき、樹木に対する親しみがより湧いてくるでしょう。冬芽(トウガとも)は、樹木の枝先や葉(よう)腋(えき)に出現し、冬を越すための芽、すなわち越冬芽のことです。ソメイヨシノ、トチノキ、ヤブツバキなど多くの冬芽は鱗片(りんぺん)葉(よう)(芽(が)鱗(りん))に包まれて、寒さからしっかり保護されていますが、ヤブムラサキやアカメガシワ、ニガキなどには、鱗片(りんぺん)葉(よう)がなく裸(ら)芽(が)という裸の芽になっています。これらの芽が冬の寒さを凌ぐため、どんなマントをまとっているのか?雪を被ったシュート(枝や芽)をちょっと払って覗いてみましょう。
冬芽や葉痕や維管束痕などをワンセットで眺めると、そこには、ガングロねえちゃんムクノキ、お洒落な髪型ヤマフジ、ヒゲのおじさんエノキ、入れ歯を外したおばあちゃんハリエンジュ、森の時計台クサギ、なんか文句あっかモミジバフウ、でっかい顔したニワトコ、赤ら顔ボクサーのカナクギノキ、坊やのお顔が可愛いアオキ、…etc.冬芽や葉痕は小さいものが多いので、10倍程度のルーペを持ってウオッチングすると、冬の森歩きも10倍楽しくなること請け合いです。(安部泰男)
|