「個性をもつ木」
一概に樹木といっても、1本1本に個性があることに気づかされます。樹形を大きく分けると、樹冠が円錐形の針葉樹、横広がりの広葉樹、蔓性樹木の3つのパターンとなります。針葉樹は厳しい風雪に耐えられるよう縦に伸びますが、広葉樹は沢山の光を浴びるため枝が横に伸びます。そして、つる性の樹木は側の木に巻きついたりして、ねじれた格好で伸びていきます。針葉樹の殆どは常緑ですが、今回は、落葉のスギ科・ヌマスギ属・ラクウショウ(落羽松)を取り上げてみました。ところでラクウショウは、油山の何処に植栽されているかご存知ですか? 同じ仲間のメタセコイア(別名アケボノスギ・曙杉)は、子ども広場などで、樹高が20数メートルの高木となっています。ラクウショウは、別名をヌマスギ(沼杉)というだけあって水湿地でよく育ち、木の根元から筍のような膝(しっ)根(こん)(気根)を出している光景を新宿御苑で見たとき、ちょっと異様な感じさえしました。樹形的にはどちらも円錐形を呈していますが、ラクウショウは樹(じゅ)冠(かん)が少し丸っこくなっているようです。線形の葉や球果などもよく似ていて、その大小などに違いがあるものの、大きな相違点は、メタセコイアの羽状(うじょう)の葉と側(そく)枝(し)が対生となっているのに対し、ラクウショウは互生です。そこで、メタセコイアは対生だからメ・タイセイ・コイアと覚え、ラクウショウは互生だから、お互いにラクー・シヨウで分かって頂けましたか?秋も深まるにつれ、黄紅色または赤褐色に色づいて、ハラハラと側枝ごと落葉する様はとても綺麗です。(安部泰男)
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