「竹ぼうきの木」
高村光太郎は「冬が来た」の中で、「きっぱりと冬が来た 八つ手の白い花も消え公孫樹(いちょう)の木もほうきになった」と詠んでいます。端整な逆さ箒(ぼうき)の樹形と言えば、ケヤキの右に出るものなし。冬の大空に向かって、両手を高々とかざしたシルエットは群を抜いています。名は体を表すのとおり、ケヤキは木偏に擧と書き、樹高30m以上、直径3m以上、樹齢数百年以上!日本を代表する広葉樹と言えるのでは?また巨木ランキングでは、スギに次いで多いとされていますが、ケヤキは樹形の美しさもさることながら、大きな緑陰を提供してくれることから、公園樹や街路樹に多く採用。福岡市中央区のけやき通りでは、「都心の木陰」として、市民の憩いの場となっています。樹高は立地条件の指標とされていますが、あのように立派に生育している事実は、アスファルトの下で根が十分に育つ土壌が保たれているのでしょうか? ニレ科ケヤキ属のケヤキ(欅)は、別名をツキ(槻)とも言い、老木になると樹皮が鱗片状に剥がれるのがニレ科の大きな特徴です。命名理由は、木目がとても美しいので、異(け)やけ(やけ)き(き)木(き)(異(け)とは他より特出している) ⇒けやけき⇒けやきへと変化したようです。大分県日田市で見た街路樹のケヤキが、成長した幹や枝が電線に触れるためか、ケヤキの意に反して無惨にも樹冠が押さえられ、枝垂(しだ)れている無惨な姿がなんとも痛ましい!また、秋の紅(黄)葉は見事なのに、大量の落ち葉に対する苦情ナンバーワンの木と聞くにつけ、欅は枝を広げ葉っぱを落としてこそ、ケヤキ本来の姿の筈が…。(安部泰男)
|