「ほう!と見上げる木」
青葉が目にしみる侯 油山をウオッチングしていると、でっかい花とでっかい葉っぱの樹木に出会います。そして、何処からともなくいい香りが漂ってきます。その主は、油山のシンボルツリー!ホオノキ(朴の木)です。モクレン科モクレン属のホオノキは、日本原産の沖縄を除く、九州から北海道の山地に広く自生、花も葉も日本一の大きさを誇っています。樹高は20m以上の落葉高木。花は全体的に薄いクリーム色で、直径15cm以上の花びらを開き、花の中心に雄シベと雌シベが集まり、雄シベは恥ずかしさの余り赤く染まっているかのよう!3枚の萼弁と6~9枚の花弁に妖艶ささえ感じますが、花そのものには蜜が無いため、芳香(色香)でハナムグリなどの甲虫類を誘惑して、受粉を促す作戦を展開しています。花の命は短くて雄シベは受粉を終えると、儚(はかな)くもパラパラと散り果ててしまいます。葉は全縁(ぜんえん)で枝先に集まり互生して単葉、最大長40cm、最大幅25cmの倒卵状の楕円形です。果実は袋果(たいか)が多数集まり、赤みを帯びた棘(とげ)のある約15cmの長卵形、秋に赤褐色に熟して心皮(しんぴ)が裂け、中の赤い種子を白い糸で吊り下げます。樹皮は白っぽく平滑(へいかつ)で、丸い皮目(ひもく)が点在しています。名前の由来は、古(いにしえ)の頃からホオガシワと呼ばれ、ホオとは冬芽をほほむ(包む)形から来たもの。カシワとは葉っぱに食べ物を飾るまたは炊(か)しぐ葉のことを言い、青い葉の殺菌や防(ぼう)黴(かび)効果を利用して、ご飯をホオノキの葉で包んだ朴葉寿司や朴の葉おにぎり、そして日本の郷土料理として有名な朴葉焼きや朴葉味噌は、とっても美味でした。
(安部 泰男)
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