「縁起の良い木」
人生いろいろ、樹木もいろいろです。そして花もいろいろ咲き乱れます。いろいろある樹木の中で、縁起が良
くてお目出度い樹木を探してみました。人に喩えますと、お目出度い人のことを「お人好しで思慮が足りない」とか、「馬鹿正直な人」のことを言うようですが、今の世の中、馬鹿正直な人が少なくなりましたよね。お人好しで馬鹿正直、大いに結構なことではありませんか。ところで、お目出度い木といわれるものに、梅(正月の寄せ植えに利用)、松(同じ袋に2本入っているので夫婦和合)、南天(難を転ずる厄除け)、ユズリハ(先祖代々を譲る葉)、ムベ(掌状複葉が7・5・3枚)など、まだまだ沢山ありますが、古典的な植物として、皆さんよくご存じの「万両」・「千両」・「百両」・「十両」があり、更に「一両」という本当に小さな木も存在します。マンリョウ(万両)とは、ヤブコウジ科の木。葉の下に赤い実を沢山付け、実の多さからセンリョウに対して命名されたらしく、茎は直立し、高さ30~100センチメートル程の常緑小低木。和名で万両、漢名は朱砂銀。センリョウ(千両) とは、センリョウ科の木。枝の頭頂部いわゆる葉の上で、上向きに10~30個の小さな実を付けます。お正月用の飾り花として、花屋さん等で売られていることから、現代ではお目出度い木の一番人気ではないでしょうか。
センリョウは実を上向きに付け、マンリョウ以下その他のものは、実が下垂していることが大きな特徴です。中国では草珊瑚と言うそうです。ヒャクリョウ(百両)とは、ヤブコウジ科のカラタチバナ(唐橘)。葉と同じ場所から花柄を伸ばして、1~数個の実を付ける。我が家のものは、7・5・3と付いていました。このカラタチバナは、江戸時代に抜群の人気があり、葉っぱの斑入りや変形葉とか変わり実に、豪商達は金に糸目をつけず、遊び心によって百両のカラタチバナが、2千両とか3千両の高値で取り引きされたとか。ジュウリョウ(十両)とは、ヤブコウジ科のヤブコウジのこと。葉と同じ所から花柄を出し、1~2個の赤い実を付ける。晩秋から初冬にかけて暗い森の中、ひっそりとした赤い実を見つけたとき、なんだかホッとして心が和みます。イチリョウ(一両)とは、アカネ科のアリドウシ。各節に2本の棘と2枚の葉、そして2個の白花を付け、晩秋に赤熟して先端に萼片が残ります。名前の由来は、棘が鋭く蟻をも差し通すことから。白い花で芳香のあるクチナシと同じ仲間とは、分類的にちょっと信じられませんね。漢名は「虎刺」です。我が家の狭い庭には、万両からお金が有りどおしの一両まで植えていますが、生まれてこの方お金には縁遠く、現在は年金生活で細々と生計を立てています。残り僅かな人生となってしまいましたが、「森を育てる会」における“3K”即ち、いつまでも“健康”で“活力”を持ち続けるとともに、皆さんとの“交流”を更に深めて行きたいと思っていますので、今年もどうぞよろしくお願い致します。(安部泰男)
|