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森に集い、森を育て、森で遊び・学ぶ 森会

油山の樹木ア・ラ・カルトjyumoku

油山の樹木ア・ラ・カルト(4)<2008年3月>

ネズミのつく木

平成20年(2008年)!今年の干支は、十干十二支、最初の「ネズミ」子年です。20年前の昭和64年は、昭和天皇の崩御によって僅か7日間で終わりを告げ、新しい元号の平成の世は、1月8日からスタートしました。早いものであれから20年です。皆さん方もいろんな思いがおありでしょうが、私は新年を迎えると、その年の干支に因んだ、干支登山なるものを現在も続けています。
平成元年(1989年)1月8日(日)は、巳(蛇)年でした。山には多くのヘビが棲息しているにもかかわらず、ヘビを付した山名が少ないのです。その数少ないヘビ山の中から阿蘇山系の【蛇の尾】(754m)という山を見つけ出し、寒風吹きすさぶ阿蘇の野を彷徨い、膝上までの積雪をラッセルしながら、やっとの思いで辿り着いた記憶が、昨日のことのように蘇ってきます。日本百名山の深田久哉は、「瀟洒なる自然」の中で、「未・羊」と「子・鼠」の付く山名が少ないと言っています。私の知る限りにおいて、次に少ないのか、「巳・蛇」または「亥・猪」のようです。今年の干支の山探しも一苦労です。わざわざ三重県や岐阜県まで出掛けるとなると、二の足を踏んでしまいます。そこで「食う・食われる」の食物網から、ネズミの天敵であるネコやタカなどにこじつけて、猫岳(阿蘇の根子岳)や鷹取山(直方市)に辿り着きます。ところで、今年の干支に因んだ樹木名ですが、山名と同じく、ネズミの付く樹木名が少ないようです。昔からネズミは、病原菌の媒介者として忌み嫌われていますが、子年の子は子供の子、妊娠期間は2~3週間、生後3~4週間で性成熟、出産当日も受胎可能、条件さえ整えば1年中、1腹5~10匹出産する等、ネズミ算式に増殖することから、株式では繁栄の年と捉え、縁起のよい動物とされています。そこで、ネズミを付した樹木を取り上げ、その命名理由などを簡記してみました。○ネズミモチ【鼠糯】(モクセイ科・イボタノキ属)果実の形や色が鼠の糞に、葉がモチノキに似て対生。葉柄が紫色で、葉を焼いても死環が出ない。ある時、若いお母さん方に自然案内をしていると、「えっ!ネズミのウンチって、こんな形をしているんですかあー?」と言われてしまいました。

○トウネズミモチ(唐鼠糯)(モクセイ科・イボタノキ属)
中国原産で葉も果実も大きく葉脈が透けて見え、葉っぱの裏に文字が書けて、主脈が盛り上がる。

○ネズミサシ【鼠刺し】(ヒノキ科・ビャクシン属)
正式にはネズ<杜松>別名をネズミサシ又はトショウ。葉が鋭く尖っているため、鼠の通り道に置いておくと通れないことから命名。ヨーロッパ産の果実は、ジンの香り付けとして利用。同じ仲間にハイネズ【這杜松】やホンドミヤマネズ【本土深山杜松】等があり。ネズはネズミの略。

植物名にネズミを冠した理由は、昔はネズミが普通に見られたことから、それぞれに命名されたものと思われますが、その割には種名が少ないのは、穀物の害獣として嫌われたためでしょうか?ネズミは主に夜行性で、人が寝静まった頃を見計らって、こっそり食料を盗むので、「寝盗み」が転じてネズミになったとか? 体の大きさも5~35㎝までと様々で、森や草原を生息地とするネズミ達は肉食獣の格好の餌食となるので、生態系の中では重要な役割を果たしていると言えるでしょう。昨年は亥(猪)年でした。新潟県を始め全国各地における地震の発生、地球温暖化に伴う酒田市のフェーンに現象による熱射病患者の続出、はたまた政治の世界では、参議院選挙において与党が大敗するなど、いわゆる亥年現象と言われる、天災や人災が全国各地で多発した1年でした。今年こそは、会員の皆さん方にとりまして、ネズミ年にあやかって、繁栄の年となりますよう!心からお祈りしていまCHU (安部泰男)

 
 
 
 
 

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