「旅路の果ての木」
紅葉前線は、北から南そして上から下に降りて来ます。春の主役がサクラなら、日本の秋の主役は、カエデの紅葉・黄葉で決まりです。秋も深まり11月の下旬ともなると、落葉樹は色づいて冬支度に入ります。秋のウオッチングの楽しみは、様々な紅葉(黄葉)を愛で、落ち葉の絨毯を歩きながら、カラフルな葉っぱ集めに興じること。昨日まで緑色だった葉が、何故にこんなに華やかに変化するのか、赤、黄、ピンク、オレンジ、茶色、クロロフィルが残ったものなど、つい不思議の世界に引き込まれてしまいます。カエデの古名は、葉の形から「かえるで」といい、モミジは紅葉するという意味の「もみず」からきています。日本には35種のカエデが自生し、園芸種を数えると160種にも及びますが、油山には、カエデ科の樹木が少ないようです。その中で、モミジの代表「イロハモミジ」をはじめ、「コハウチワカエデ」「トウカエデ」「ウリハダカエデ」「イタヤカエデ」に、県木の森にある「ハナノキ」位のものでしょうか?カエデ科カエデ属の特徴は、長い葉柄をもち葉が全て対生、果実に2枚の翼を持っていることです。美しく紅葉する木は、カエデ科のみに止まらず、「ハゼノキ」「モミジバフウ」「ニシキギ」「ナンキンハゼ」「サルスベリ」なども深秋に花を添えてくれます。黄葉の代表は「イチョウ」ですが、「アカメガシワ」「ユリノキ」「クヌギ」「コシアブラ」「ハリギリ」等々があり、今年も落葉樹達の旅路の果てに輝く最後の装いを、じっくりと味わって見たいものです。(安部泰男)
|